図説:東北の稲作と冷害

“やませ”による水田水温の急激な低下


各県の協力を得て、水源、用水路、水田の水温計測が平成6年から始められた。この資料から“やませ”襲来時に水田水温が10度以上も急激に低下することが分かった。

“やませ”による水田水温の急激な低下

 1998年度東北稲作においては、6月から8月に断続的にオホーツク海高気圧が張り出し、低温が襲来した。特に、6月3日〜6月10日頃と7月10日〜7月末頃まで、かなりの低温となり、低温注意報がこの間連続的に発令された。このように“やませ”が入ると、水源、用水路、水田の水温がどのように変化するのか。その点を、青森県十和田地域にある稲生川頭首工水系の実測データで示したのが下図である。なお頭首工とは、河川などから用水路へ必要な灌漑水を取り入れるための施設で、一般に取水堰と取入口とから成る。

 この図から、次のようなことが読みとれる。(なお、以下に記述する温度の絶対値や変化の程度は場所・管理等が異なることを予めお断りしておく。)
1) 水温は水田におけるエネルギーの流れで決まる。移植後から7月中旬の幼穂形成期頃までは、水面が稲体にすべて覆われていないので、日射が直接水面に到達する。天気の良否で水面に到達するエネルギー量が異なるため、15度〜27度の範囲で日々変化する。
2) 幼穂形成期を過ぎると、稲体が水面を覆い、日射は直接水面に到達する割合が減り、水温の日変化は前よりは小さくなる。
3) やませによる低温が入ると、どうなるか。6月上旬の例では、25度程度あった水温は2日後には10度、さらに4日後には15度程度急激に低下した。7月中旬の例でも、低温が入った4日後には10度程度急激に低下した。
4) 頭首工や用水路の水温も水田水温と同様に6月上旬の低温で低くなった。また、7月中旬以降の断続的な低温と日照不足により、頭首工水温は過去4年間の平均値に比べ5度前後低くなった。
 このように、やませによる低温が連続して入ると、水田の水温は数日後には10度以上低下することが分かる。この低下程度をいかに軽減するかは水管理の良し悪しに関係する。
参照:早期警戒地点の水温経過深水灌漑
 
GotoHome Return Opinion
 

reigai@ml.affrc.go.jp