図説:東北の稲作と冷害

生育中期の水管理のポイント


有効茎数を確保した後、水管理のポイントは中干しであり、その技術を概説する。

生育中期の水管理のポイント

有効茎数を確保した後における水管理のポイントは中干しである。
中干しは、一般的には草姿の調節、倒伏防止、土壌条件の改良などを目的とする。
中干しのポイントは次の2点にある。
    (1) 土壌窒素の発現を抑制し、水稲の窒素吸収量を調節する。
    (2) 湛水条件下で土壌が還元するに伴って蓄積される有害物質(硫化水素、有機酸など)を除去し、根の活性を高く維持する。
中干しの期間とその強さは、土壌の種類や水の保持力、降雨の量、窒素施肥量、稲の生育状態などによって異なる。

湛水土壌の還元程度は酸化還元電位(Eh)を指標にされる。図1は湛水後の酸化還元電位の推移と、それに伴ってpHと2価鉄濃度の上昇を模式的に示したものである。
湛水後における土壌還元の進行に伴う特徴的変化
    このように、次のような特徴がある。
    (1) 酸化還元電位は湛水後日数に反比例する形で低下する。
    (2) この還元の進行に伴って、土壌溶液中の2価鉄濃度とpHが急激に上昇する。
    (3) この2価鉄濃度が著しく高まると、硫化水素や有機酸などの有害物質が蓄積される。

硫化水素は稲の養分吸収を阻害する。特にリン酸、カリ、アンモニア態窒素の吸収阻害効果が大きい。この養分吸収阻害に加えて、硫化水素は根に入り地上部に移行し、生長と転流を妨げる。
硫化水素は炭水化物、窒素、リンの稈基部から生長中の部分への転流を抑制する。この転流抑制によって、遅発分げつを促進し生長のパターンを乱す。
中干しや間断灌漑は図2に模式的に示すように、土壌還元の進行を調節する重要な基本技術である。
土壌還元を調節する中干しと間断灌漑の効果
このように、上図は間断灌漑によって酸化還元電位の低下が抑えられ、周期的な間断灌漑によって酸化還元電位が高く維持されることを示す。下図は中干しと間断灌漑を組み合わせることで、土壌溶液中の2価鉄濃度が低く維持され、また有害物質を除去し、根の活性を高く維持できる。

参照図説:

質 問:湛水中干しの効果が生育・収量に顕著に現れない理由は。

 
GotoHome Return Opinion
 

reigai@ml.affrc.go.jp