図説:東北の稲作と冷害

ブロッキング高気圧と異常天候


ブロッキング型の分類
 偏西風は時間的に変動し、偏西風の強い東西流型から偏西風の弱い南北流型へと周期を描くことは1940年代に発見され、インデックス・サイクル(4〜8週)と名付けられた。東西流型の場合は高・低気圧が順調に東進するので、天気は周期的に変わる。このような場合は、異常天候にならない。南北流型の場合は地域的に天候の違いが大きく、南風の吹いている地域は温暖、北風の吹いている地域は寒冷、その中間では寒気と暖気がぶつかり合い長雨や集中豪雨となる。このような南北流が、1か月以上持続すると異常天候となる。
 南北流型の中にブロッキング型と呼ばれる型がある。ブロッキングとは西風を阻止するところから名付けられた。このブロッキングは図1のように分流型と南北流型とに分けられる。分流型が最も典型的な型で、帯状に流れていた偏西風が2つに分かれ、北の分枝は高気圧性にブロッキング高気圧の周りを流れ、南の分枝は低気圧性に曲がって寒冷な低気圧の周りを流れる。南北流型は尾根の振幅が著しく増大した場合である。
梅雨期にみられた日本付近のブロッキング
 日本では梅雨期にオホーツク海にブロッキング高気圧が形成される。多発する地域はベーリング海、ついでグリーンランド〜ヨーロッパ域である。次に多いのがカスピ海付近とオホーツク海付近で、前二者にくらべるとあまり持続しない。しかし、中には例外的に持続する場合がある。その良い例が1954年の梅雨期で、ブロッキング型の流れが6月中旬から7月下旬までの約50日間も続いた。図2の示すように、偏西風は北と南に分流し、オホーツク海付近に高気圧が形成された。地上では典型的な梅雨型の気圧配置が続き、寒気が日本に流入した。そのため、6、7月の平均気温はかなり低く、米作に大きく響き、全国の作況指数は92、北海道では62に低下し、歴史的な凶作となった。
 異常天候のすべてがブロッキング型の時に発生するのではないが、ブロッキング型が続くときは必ず天候は異常を示す。その理由は、図1からもわかるように、温暖な高気圧は北にあり、寒冷な低気圧は南にあるので、北の温度が南よりも高くなる。これは通常とは逆の温度分布であり、それに伴って天候分布も変わる。日本の緯度では南の寒冷な低気圧の影響を受けて、冬なら豪雪、夏なら長梅雨、冷夏になる。さらに重要なことは、ブロッキング型は長期間持続するので、悪天候も長引く。その結果、平年から著しく偏った天候すなわち、異常天候が発生する。
(参考文献:根本順吉・朝倉 正(1980)「気候変化・長期予報」(気候と人間シリーズ2)、朝倉書店。)
 
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