図説:東北の稲作と冷害

生育時期別の一般的な水管理



生育時期別の一般的な水管理

 水管理の種類には,浅水,深水,間断灌漑,落水(中干し)等があり,期待される効果は表1の通りである。
 稲体の保温を優先する場合は深水管理とし,酸素の供給によって根の活力維持を図る時は中干しや間断灌漑で管理する。このように,水管理は稲の生育を制御する重要な技術である。したがって,稲の生育状況と生育環境に応じた水管理法を選ぶ必要がある。

 一般的な水管理体系は図1の通りである。

1)活着期
 活着の適温は25〜30度とみられるが,東北では移植適期の5月中下旬に25度以上の気温になることは少ない。水深の調節によって,水温をできるだけ高く保ち,活着を早めることが重要である。
 温暖な気象条件下では,日中止水で3〜4cmの浅水とし,水温を上昇させ,夜間は5cm程度の水深にする。この時期,低温に風が加わると,発根が遅れるばかりでなく,強制蒸散や物理的な苗の損傷によって植え傷みが生じ,程度がひどいときには枯死する。このような条件のときは,苗丈の4分の3程度が浸かる程度の深水とし,苗を保護する。

2)分げつ期
 この時期の水管理の一つのポイントは生産力の高い2〜5節から発生する強勢分げつを早期に確保することである。このため,分げつ発生を促す水深3cm前後の浅水管理とし,日中は水温を高め,夜間は低下させ,日水温較差を大きくするのが基本である。しかし,浅水管理は,水田土壌の還元化を促進するので,稲わら連用田や排水不良田では,温暖な日に間断灌漑を行う。
(参照:図説東北の冷害「やませと水温の変化」

3)有効分げつ決定期〜穂首分化期
 この時期は,過剰な窒素吸収を抑え,遅発分げつを抑制し,病害抵抗性や耐倒伏性の強化を図るため,稲の体質改善と生育調節を行う上で重要となる。このため,目標茎数を確保したら,直ちに中干しに入る。中干しは上の効果だけでなく,地耐力を高め,機械作業能率を向上させる効果もある。中干しの程度は,田面に1cm以内の小ヒビが入る程度(足跡がつく程度)を基準とするが,稲わら施用田や生育過剰の水田では強めにし,生育量が充分に確保されていない水田では弱めにする。中干し終了後は,稲体の活力を低下させないために,水分と酸素を交互に供給する間断灌漑を行う。

4)穂首分化期〜穂ばらみ期
 この時期は,幼穂の発育期に当たるため低温や干ばつなどの影響を受けやすい。また,梅雨明け後の気温の上昇によって土壌の還元化が進みやすいので,間断灌漑を行う。この期間(特に減数分裂期)は低温による不稔障害を最も受けやすい時期なので,低温が予想されるときは可能な限りの深水にして,幼穂を保護する(参照:図説東北の冷害「深水灌漑」)。

5)穂ばらみ期〜開花期
 出穂直後の穂は物理的な損傷を受けやすく,体内の水分生理の乱れによって,開花・受精にも影響するので,水分補給を重視した湛水(花水)とする。

6)登熟期
 開花後は,間断灌漑を行い,分枝根の発生と伸長を促して,根の活力維持に努める。落水時期は機械収穫を考慮し,出穂後30日が目安とされているが,収量ならびに品質の向上のためには,落水時期は遅いほど良く,収穫日と土壌条件によって落水時期を決定する。
    (出典:福島県稲作指導指針(総合版),平成4年3月,福島県農政部。一部改変)

 
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